季刊教育法185号(2015年6月25日発売)が刊行された。これには、私の「体罰根絶への道-文部科学省体罰実態調査が示すもの」とのタイトルで、文部科学省が2013年8月9日に公表した「2012年体罰の実態把握について(第2次報告)」を分析した報告が掲載されている146-157頁)。

分析の結論は、

(1)体罰発生率が、国公私立の間でも、また、都道府県の間での差異がある。都道府県の間の差異は、児童生徒数比率で比較すると30倍にも及ぶこと。

(2)同一都道府県の中でも、小学校、中学校、高校の間で差異があること。小学校、中学校、高校のいずれかあるいは複数で体罰率が低い、あるいは高い、などの結果が見られること。←これらがどのような要因であるのかのさらなる研究が望まれる。

(3)中学校・高校の体罰数が多い要因一つには運動部活動の場面での体罰が多いこと。

をそれぞれ指摘出来た。

今後の課題としていくつか上げたが、最後に指摘したのは、教員養成大学の課題である。

「体罰を行った教員は特定の大学に多いという声が聞かれるが、この点は基礎資料が十分でない。そこで、文部科学省は、体罰を行った教員の出身大学について追加調査を行い、その調査結果を教員養成大学へ提供し、教員養成大学自身が、体罰に頼らない指導ができる教員養成の在り方を検討することが必要である。」

教員養成大学-とりわけ体育系教員養成大学自身による検討が必要なのではないだろうか。

都道府県教育委員会、市町村教育委員会、各学校の管理者の方々は、この報告から自県、自市、自校に何が必要かも考えて欲しい。特に体罰への親和性が高いと指摘されている地域の教育委員会には早急な検討を期待したい。

弁護士 望月浩一郎